07:00
フライトまで1時間を切ったころ
俺:
『ハロー』
審査官:
『コンニチハ。』
(日本語!? なにコイツめっちゃいいヤツ)
単純っ
審査官:
『ベルギーへは何を?』
(いやEチケットに書いてますやん)
俺:
『乗り継ぎです。』
審査官:
『どこへ?』
俺:
『マドリードへ。』
—–沈黙—–
そういやどっかの掲示板で見た…
ヨーロッパのイミグレは日本人はユルユルですよねって記事
さすが!日本人は信用あるよなぁって安心してた。
審査官:
『マドリードでは宿泊先は決まっていますか?』
俺:
『はい。』
(って言っちゃったんだよ…)
頭イッちゃってるよ
審査官:
『ホテルの予約書を。』
(ええー!
あるわけねぇーよ!
友達んち泊まるんだから!)
俺:
『な、無いです。。』
……
審査官:
『データでは?』
(あったら見せるよiPhoneだろがなんだろーが汗)
俺:
『な、無いです。じ、実は
1日目は友達のところに泊まる予定デス…』
(もうそんな難しい顔すんのやめて)
もう冷や汗ハンパなくて
30秒の沈黙すらやたら長く感じて
脚は震えだすし,
もう思考停止。
しまいに裏から出てきた大男にバトンタッチ。
とりあえず『ボブって感じの人』っていえば
なんとなく想像つかないだろうか。
以下、
大男改め
ボブ。
案内されたの、ボブに。
廊下を挟んで
厳重にロックされたドアが2つ。
裏の別室に連れていかれたんです。
(なんで?宿泊先未定なだけで?それともなんか怪しく見えた?)
そこで待ってろ、後で呼ぶから。
ってボブが。
どんよりした灰色の壁
天井には監視カメラ
20畳ほどのガラリとした部屋に
イスが並び、
そこにはすでにアフリカ系の人が3人。
1番ゾッとしたのは、
その部屋の隅にひとつ..
マットレスと寝具一式が……。
おいおい、
I have a reservation for tonight.ってか
ここでなんらかの理由で入国できなかったヤツが
ここで寝たりしてんのかよって。怖っ
07:15
ボブに呼ばれる。
個室に入ると、
デスクとパソコンが3つずつ並んでて
室内は妙~な空気。
そりゃそうだよな。
コイツはとにかくため息で圧をかけてくんだよ
いやわかんない、
ただ疲れてただけかもしらんけど。
ボブ:
『英語は?』
俺:
『す、少し』
ボブ:
『少しね。オーケイ。マドリードに何をしに?スペインだけか?』
俺:
『観光と…友達に会いに。
スペインを周ってポルトガルにも少し。』
ボブ:
『友達の家に泊まるって?名前は?連絡先は?』
(おっと?
そういや、、
北京にいる時にアベルが事細かに会う場所と日時をメールくれてたな…
ほんと、これ無かったらどうなってたんだろ..笑)
まぁでも、
そのメール見せても
「へぇ~。」
で済まされたんだけど。
ボブ:
『金は?金はあるのか?クレジットカードは?』
.
.
.
この辺からはもうボブの
消化試合。
財布に入ってるありったけのユーロをちらつかせた。
(ちょうど日本で15000円分だけ換金してたんです)
クレジットカードもキャッシュカードも見せて
この時ばかりはドヤ顔で潤いのある余裕を見せてやるしかなかった。
その後もしばらく俺のパスポートと旅程を見つめていた…
そしてまた深~いため息のあと
やっとスタンプを押してくれた。
きっと間に合うだろうと言い聞かせ、
小走りでチェックインカウンターへ向かった
07:30..
カウンターでは4~5人のグループがなにやらゴチャゴチャやってて。汗
俺があまりにも★不安なオーラ★を全開にしていたのか
係員が預ける荷物はありますか?
と優しく尋ねてきた。
無いと言うとすぐにチケットを発行してくれた
ゲートまで急いだ。
(間に合った….)
マドリードまではさらに2時間35分…
機内では全く眠れない俺も
この日は少し深く寝入ってしまった。
(※ちなみにEU内のほとんどはシェンゲン協定で結ばれているため
一度ベルギーで入国審査された俺はマドリードでの入国審査及びパスポートコントロールは一切ない。)
今回の一件で自然に身についた
【不安色の覇気】は、
この旅で活躍するかもしれない。
こうして、ひとまずは無事にマドリードはバラハス空港へ到着した。
つづく…
「いよいよスペインへ ① 」
「入国審査で大ピンチ ②」
「ロカの奇跡 ⑩ 」
「リスボンからポルトへ ⑪ 」
「いよいよバルセロナへ ⑫ 」
「サグラダ・ファミリア ⑬ 」
「そして最後の夜 ~完~ 」